乳がん/婦人科がん がん遺伝子

以下は、ご指定いただいた遺伝子（ATM、BARD1、BRCA1、BRCA2、BRIP1、CDH1、CHEK2、EPCAM、MLH1、MSH2、MSH6、NBN、PALB2、PMS2、PTEN、RAD51C、RAD51D、TP53、STK11）の解説です。それぞれ、がんリスクや細胞の成長、DNA修復に関連する重要な役割を果たしています。

1. ATM（ataxia-telangiectasia mutated）

• 役割: DNA損傷を感知し、修復を促進するがん抑制遺伝子。特にDNA二重鎖切断の修復に重要。
• 関連がん: 乳がん、リンパ腫、前立腺がん。ATMの変異があると、DNA修復の能力が低下し、がんのリスクが増加します。

2. BARD1（BRCA1 associated RING domain 1）

• 役割: BRCA1と協力してDNA修復に関与する腫瘍抑制遺伝子。BRCA1との相互作用により、損傷したDNAの修復を助けます。
• 関連がん: 乳がん、卵巣がん。BARD1の変異は、これらのがんに対する感受性を高めます。

3. BRCA1（Breast Cancer 1）

• 役割: DNA修復、特にホモロガス組換え修復を担うがん抑制遺伝子。BRCA1は細胞周期のチェックポイントにも関与しています。
• 関連がん: 乳がん、卵巣がん。BRCA1の変異は、これらのがんのリスクを大幅に増加させます。

4. BRCA2（Breast Cancer 2）

• 役割: BRCA1と同様に、DNA修復に関与。特にDNA二重鎖切断の修復を助ける役割を持つ。
• 関連がん: 乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん。BRCA2の変異は、複数のがんに対する感受性を増加させます。

5. BRIP1（BRCA1 interacting protein C-terminal helicase 1）

• 役割: BRCA1とともにDNA修復に関与するヘリカーゼ。DNAの巻き戻しを助け、DNA修復を促進します。
• 関連がん: 卵巣がん、乳がん。BRIP1の変異は卵巣がんのリスクを高めます。

6. CDH1（E-cadherin）

• 役割: 細胞接着分子で、組織の構造維持に重要。がん抑制遺伝子としても機能し、異常な細胞の増殖や転移を防ぎます。
• 関連がん: 胃がん、乳がん（特に葉状がん）。CDH1の変異は、細胞の接着を弱め、がんの転移を促進します。

7. CHEK2（Checkpoint kinase 2）

• 役割: DNA損傷応答に関与し、細胞周期のチェックポイントを制御する酵素。損傷が修復されるまで細胞分裂を止めます。
• 関連がん: 乳がん、結腸がん、前立腺がん。CHEK2の変異は、DNA修復が不完全になるため、がんリスクを増加させます。

8. EPCAM（Epithelial Cell Adhesion Molecule）

• 役割: 細胞間接着に関与し、腫瘍形成や細胞の増殖にも影響を与える。
• 関連がん: 結腸がん（リンチ症候群関連）。EPCAMの変異は、特にミスマッチ修復システムに影響を与え、結腸がんのリスクを増加させます。

9. MLH1（MutL homolog 1）

• 役割: ミスマッチ修復（MMR）に関与する主要な遺伝子。DNA複製時のエラーを修正し、ゲノムの安定性を維持します。
• 関連がん: 結腸がん（リンチ症候群）、子宮内膜がん。MLH1の変異は、ミスマッチ修復システムの欠陥を引き起こし、がんのリスクを高めます。

10. MSH2（MutS homolog 2）

• 役割: ミスマッチ修復において、MLH1と連携してDNAの損傷を修復します。
• 関連がん: 結腸がん（リンチ症候群）、子宮内膜がん。MSH2の変異は、リンチ症候群に関連し、がんの発症リスクを増加させます。

11. MSH6

• 役割: MSH2と同様に、ミスマッチ修復に関与。DNAの損傷修復において重要な役割を果たします。
• 関連がん: 結腸がん（リンチ症候群）、子宮内膜がん。MSH6の変異は、がんのリスクを高めます。

12. NBN（Nibrin）

• 役割: DNA二重鎖切断の修復に関与し、ゲノム安定性を維持する。
• 関連がん: 乳がん、リンパ腫。NBNの変異は、DNA修復機能を低下させ、がんリスクを増加させます。

13. PALB2（Partner and Localizer of BRCA2）

• 役割: BRCA2と相互作用し、DNA修復に関与する重要な役割を持つ。ホモロガス組換え修復において重要な役割を果たします。
• 関連がん: 乳がん、膵臓がん。PALB2の変異は、BRCA2の機能を損ない、がんリスクを増加させます。

14. PMS2（Postmeiotic segregation increased 2）

• 役割: ミスマッチ修復に関与し、DNA複製エラーを修正する。
• 関連がん: 結腸がん（リンチ症候群）。PMS2の変異は、DNA修復機能を低下させ、がんの発生リスクを増加させます。

15. PTEN（Phosphatase and tensin homolog）

• 役割: 細胞の成長、増殖を制御するがん抑制遺伝子。細胞内シグナル伝達を抑制し、細胞の異常増殖を防ぎます。
• 関連がん: 乳がん、子宮内膜がん、甲状腺がん。PTENの変異は、異常な細胞増殖を引き起こし、がんリスクを増加させます。

16. RAD51C

• 役割: DNA修復に関与し、特にホモロガス組換えによるDNA修復を助ける。
• 関連がん: 乳がん、卵巣がん。RAD51Cの変異は、DNA修復機能を低下させ、がんリスクを増加させます。

17. RAD51D

• 役割: RAD51Cと同様に、DNA修復に関与。特にDNA二重鎖切断の修復を助けます。
• 関連がん: 乳がん、卵巣がん。RAD51Dの変異は、がんのリスクを増加させます。

18. TP53（Tumor Protein 53）

• 役割: 細胞周期を制御し、DNAの損傷を感知して修復やアポトーシス（細胞死）を促進する、主要ながん