ハプログループ一覧

ハプログループは、遺伝学的な系統を表す分類であり、母系（ミトコンドリアDNA）と父系（Y染色体）で異なります。それぞれのハプログループは、特定の遺伝的特徴を持ち、共通の祖先を共有する人々を分類しています。ここでは、ミトコンドリアDNA（母系）およびY染色体（父系）のハプログループを一覧にして紹介します。

1. ミトコンドリアDNA（mtDNA）のハプログループ一覧（母系）

ミトコンドリアDNAのハプログループは、母系の遺伝的系統を示しており、全ての人間がミトコンドリア・イブにまで遡ることができます。

L: アフリカに起源を持つ最も古いハプログループで、L0からL6までのサブグループに分けられます。特にL3はアフリカ外の人類の祖先として重要です。
M: アフリカを出てから分岐したハプログループで、アジア、オセアニア、アメリカの一部に見られます。
M7: 日本や東アジアに多く見られる。
M9: チベットや中国、インドに多い。
C: 北アジアからアメリカ大陸に移動した人々に見られる。
N: L3から分岐したハプログループで、世界中に広がり、多くの主要なグループを形成。
N1: ヨーロッパや中東で見られる。
R: Nから分岐した大きなグループで、Rから多くのサブグループが派生。
H: ヨーロッパに多く見られるグループ。ヨーロッパの人口の約40％が属する。
U: ヨーロッパ、中東、北アフリカで見られる。ウラル語族の人々にも関連。
U5: ヨーロッパ最古のハプログループの一つ。
J: 中東、ヨーロッパで見られる。農耕文化の拡散に関連。
T: 中東からヨーロッパに広がったグループ。
K: ヨーロッパ、中東、中央アジアで見られる。
X: ヨーロッパや北アメリカ先住民に見られる。
B: アジアとオセアニアに広がり、アメリカ大陸にも拡散。
F: 東アジア、東南アジアに多く見られる。
A: シベリア、アメリカ先住民に見られる。
D: アジア、北アメリカ先住民に多い。

2. Y染色体のハプログループ一覧（父系）

Y染色体ハプログループは、父親から息子へ遺伝する遺伝子系統を表し、すべての男性はY染色体アダムに遡ることができます。

A: 最古のハプログループで、主にアフリカに見られる。アフリカのサン人や他の狩猟採集民に多い。
B: アフリカのピグミーや他のグループに見られる。
C: アジア、オセアニア、アメリカ大陸の先住民に多く見られる。
C2: モンゴルやシベリアの人々に多い。
D: 日本のアイヌやチベット人、アンダマン諸島の人々に見られる。D1bは日本の縄文人の系譜に関連。
E: アフリカに広く分布し、中東やヨーロッパにも少数存在。
E1b1a: 西アフリカに多い。
E1b1b: 北アフリカ、地中海沿岸地域に多い。
F: アフリカ外で発生し、ほとんどの他のY染色体ハプログループの祖先に当たる。
G: 中東、ヨーロッパ、カフカス地方に見られる。
H: インド亜大陸に多く見られ、特にロマ（ジプシー）の祖先に関連。
I: ヨーロッパに多く見られる。
I1: 北ヨーロッパに多い。
I2: 南東ヨーロッパ、バルカン地域に多い。
J: 中東、北アフリカ、ヨーロッパ、中央アジアに広がる。
J1: 中東、アラブ地域に多い。ユダヤ系のコーハニム（祭司）の系統もこのグループ。
J2: 地中海、ヨーロッパ、インドなどに広がる。
K: 多様なサブグループがあり、アジアやオセアニアに分布。
L: インド亜大陸や中東に見られる。
N: 北アジアからヨーロッパ北部にかけて分布。
N1c: フィンランド、バルト諸国、ロシアなどに多い。
O: 東アジア、東南アジア、南アジアに広がる。特に中国、日本、朝鮮半島に多い。
O2: 日本や中国に多く見られる。
Q: アメリカ大陸の先住民に多く見られる。アジアからアメリカに渡った人々の子孫。
Q1a: 北アメリカ、南アメリカ先住民に多い。
R: ヨーロッパ、南アジアに多く、世界中に広がる最も広範なハプログループの一つ。
R1a: 東ヨーロッパ、インドに多い。インド・ヨーロッパ語族の広がりに関連。
R1b: 西ヨーロッパに多く、特にアイルランド、スペイン、フランスに多い。

まとめ

ミトコンドリアDNA（mtDNA）とY染色体のハプログループは、個人の祖先を追跡するために重要な手がかりです。ミトコンドリアDNAのハプログループは母系を、Y染色体のハプログループは父系を表します。それぞれのハプログループは、特定の地域や民族に関連しており、世界中の人々の進化や移動の歴史を理解するための貴重な情報を提供します。

これらのハプログループは、DNA検査を通じて個人の遺伝的ルーツを知る際に利用され、多くのDNA検査サービス（23andMeやAncestryDNAなど）で調べることが可能です。